子犬の「社会化感受期」と問題行動の背景を考える




子犬育て

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「うちの犬、大人しくくつろいでたかと思うと、急に攻撃してきて血が出るくらい手に噛みつくんです」

「うちの犬は他の犬を怖がって近寄れないんです」

 

そんな相談を受けることがあります。

 

こうした問題行動の背景を考えてみましょう。

 

 

犬の行動の発達過程はいくつかの段階に分けられますが、その中でも最も重要とされているのが「感受期」と呼ばれる段階です。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

この感受期の過ごし方が、犬のさまざまな問題行動に大きく関係してるんです。

 

今回はこの感受期と、問題行動の関係についてお話します。

 

 

感受期とは

犬はおよそ生後3~12週齢の時期を社会化の感受期といいます。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

ちなみに猫は2~7週齢だそうですよ。

 

様々な刺激に対する感受性が高まることからこう呼ばれています。

 

近年では犬の社会化不足による問題行動が意識されるようになってきたので、
感受期の重要性が注目されるようになってきました。

 

犬の場合、5~12週齢くらいが人との交流を学ぶのに最適な時期だって言われています。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

もちろん、この時期以外に人と接触させても無駄だってことじゃなく、
人と接触するための準備が整うってことです。

 

犬は生後3週齢くらいから他の子犬の後を追う社会的遊びを始めます。

 

そして6~7週齢くらいで仲間に対して愛着が生れます。

 

なので、この時期に仲間から引き離すと不安定になってしまうんです。

 

この時期にストレスを感じることで、学習能力にも影響が出ます。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

なのに、現代日本で飼われている犬の多くは、大事なこの時期にとてつもないストレスを経験してるんです。

 

 

生後8週齢規制の抜け穴

ヨーロッパでは「生後8週齢前の子犬を親兄弟から引き離してはいけない」という法律があります。

 

日本でも2012年の動物愛護法改正により、生後56日(8週齢)未満の子犬子猫の
販売や展示を禁止するという文言が盛り込まれました。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

でも、これにはいくつかの抜け道があるんです。

 

禁止するのは「展示」や「販売」だけ

改正後の動物愛護法が禁止しているのは、8週齢未満の子犬子猫の販売と展示だけです。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

つまり、親兄弟から引き離すことは禁止してないってことです。

 

となると、ペットショップは8週齢より早い段階で子犬を仕入れて、
8週齢になったと同時に店頭に展示するようになります。

 

実際、改正後もわたしはペットショップで働いてたんですけど、
店には8週齢ギリギリの子犬子猫が輸送されてきていました。

 

日本には「小さければ小さいほど可愛い」っていうよくわからん意識があります。

 

子犬も子猫も、月齢が低ければ低いほど商品としての価値が高いんです。

 

現に、この生後8週齢規制がなかなか盛り込まれなかったのは、
ペットショップ業界の強い反発があったからです。

 

展示・販売だけでなく、生後8週齢未満の子犬を親兄弟から引き離すのを禁止、にしないと意味がないんです。

 

49日という緩和措置

しかもこの文言には、施行後3年間(もう過ぎてます)は生後45日、その後別に法律の定める日(いつまでかはわからない)までは生後49日までとする
というよくわからない緩和措置がとられています。

 

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

せっかく文言に「56日(8週齢)」って持ち込まれたのに、必要ない緩和措置のせいで効果が全然発揮されてないんです。

 

 

なので今もペットショップの子犬紹介ページを見ると、56日ギリギリの子が新入荷として紹介されています。

 

 

ペットショップの子犬の問題点

いまいち効果を発揮してない動物愛護法のせいで、ペットショップの子犬たちは様々な問題を抱えています。

 

売られる子犬たちはだいたい5週齢ほどで親兄弟から引き離されて、8~9週齢くらいまでショップのショーウィンドウに閉じ込められるので、
成長にとって重要な新しい刺激を受けることが出来ないんです。

 

刺激を受ける機会が少なくなると、脳の神経回路の発達が害されて、状況に対する不適切な反応が起こりリスクが高くなります。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

例えば、他の犬を見ただけで吠えたり、遊びによる攻撃(甘噛み)が抑制できなかったり、
ひたすら物を破壊するなど不適切な遊び行動が見られたりするんです。

 

また、日本のペット販売業者に子犬を供給する繁殖業者が、
母犬を小さなケージに閉じ込めて、散歩もさせないでヒートのたびにどんどん子犬を産ませて、
使えなくなるまで使っては捨てるっていうのを繰り返している限り、
その母犬から生まれる子犬が正常な発達をすることは望めません。

 

妊娠中の母犬の健康状態が生れて来る子犬に影響を与えるんです。

 

健康状態がよくない母犬から生まれた子犬は、学習能力が低く、異常な恐怖や脈絡のない攻撃行動を行うことが多いです。

 

このシステムは、さらにその犬たちを一生に渡って苦しめます。

 

様々な環境に慣れていない、他の仲間との社会化が出来ない、精神的に不安定な特質を持ち続けてしまったりなど、色んな問題が起こります。

 

こういった犬たちはとても飼いにくいし、飼い主から叱られたり疎まれたり、
挙句に殺処分の対象になったりします。

 

犬にとっても人にとってもいいことは何一つないんです。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

犬猫をペットショップで買うってことは、犬猫に大きな苦痛を強いる行為なんです。

 

 

ヨーロッパの状況を見てみる

ヨーロッパ(特に西ヨーロッパ)では、生後8週齢未満の子犬を親兄弟から引き離してはいけないと法律で定められています。

 

でも良心的なブリーダーは12週齢まで子犬を親元において、犬同士の社会化や家庭犬として暮らすために必要なしつけをするのが一般的です。

 

その場合も、日本のようにサークルやケージに閉じこめたりはしません。

 

サークルやケージを使う人はほとんどいないし、動物の自由を著しく阻害するような飼い方は、これも法律で禁止されています。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

鎖などで繋ぐことを禁止している国も多くありますよ。

 

そもそも、ブリーディングには非常に多くの厳しい法律が定められているので、金儲けには全くなりません。

 

なので、ブリーダーは室内で十分に手がかけられる頭数の犬しか抱えません。

 

ヨーロッパのブリーダーにとって、子犬は物や商品じゃなく、犬と交換にもらうお金も健全な特定犬種を維持存続させるための費用なものだと言っています。

 

 

ペットショップは注意書きを!

こんな風に、生後8週齢未満の子犬を親兄弟から引き離し、たった1匹だけでショーウィンドウに入れて展示・販売するってやり方は、
犬のその後の成長に著しい問題を起こす可能性があります。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

そのことをよく知らない一般飼い主がショップで犬を買い、問題行動に手を焼くというケースがとっても多いんですよね。

 

愛犬に何か問題行動が起こった時に、「犬の性格が悪い」だとか、「主従関係が出来てないからだ」とか思う前に、
大事な感受期にどんな育ち方をしたかを考えてみましょう。

 

それから、ペットショップはぜひこんな注意書きをして欲しいものです。

 

「ここで売られている子犬は生後8週齢未満で親元から引き離し、その後店内で隔離・展示を行っているため、
著しく社会性を欠いている恐れがあります」

 

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