「犬種標準」はあてにならない!それよりもっと大事なこと




犬との接し方・信頼関係

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先日の記事で、犬種標準は人間が勝手に抱いているイメージであって、あてにはならないってことをお話しました。

【その時の記事】
飼いやすい・しつけやすい犬種ってあるの?そもそも「しつけ」って何?

今回はこのことについてもっと深くお話したいと思います。

 

一般的に、犬種によって特徴的な「性格」があるってされています。

この犬種は用心深く警戒心が強い性格で、この犬種は活発で社交的な性格である、っていうような。
犬種図鑑にも「特徴的な性格」として紹介されてますね。

ケンネルクラブの「犬種標準」でも、犬種による特徴的な性格について言及しています。

例えば、のんちゃんはボーダーコリーだけど、こんな風に書いてあります。

 

粘り強く、たいへん従順で、重労働に耐えうる。鋭敏で、注意深く、責任感がある。また、聡明で、神経質でも攻撃的でもない。

ジャパンケネルクラブ 最新犬種図鑑 写真で見る犬種とスタンダード(株式会社インターズー 2019年発行)

 

でも、のんちゃんも、わたしが見てきた今までのボーダーコリーの多くも、この標準ってされる性格には全く当てはまってないんです。
特に、神経質でも攻撃的でもないって部分については全く違うってことが多いです。

のんちゃんも含め多くのボーダーコリーが神経質だって言われてるし、噛みつきといった問題行動を起こすボーダーコリーも多いです。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

犬種標準も含め、一般的にその犬種に特徴的って言われてる「性格」っていうのは実は何の根拠もなく、あてにならないものです。

 

時々、「うちの子はこの犬種で、図鑑にはこんな性格って書いてるんだけど、全然違う」って言う飼い主さんいるけど、
「そんなの当たり前のことですよ」って言ってます。

 

そこで今回は、一般的に言われてる犬種ごとの「性格」と、実際の性格が違う理由についてお話します。

結論から言うと、さっきも言ったけど、「犬種標準」っていうのは人間が勝手に抱いてるイメージだから、あてにならないのは当然なんです。

なぜなら、性格っていうのは遺伝的なものではなく、生まれ育った環境や飼い主の接し方が大きく影響してるからです。

 

 

犬種標準は「性格面」ではあてにならない

犬種標準について、性格面については特にあてにならないってことはブログでも何度かお話してきました。

最近読んだ本で、ジョン・ブラッドショー「犬はあなたをこう見ている」でも同じことが紹介されています。

1946年から1960年半ばまで行われたバーハーバー・プロジェクトでは、遺伝的な特徴が性格に影響するかどうかが研究されていました。
結果は、当初の予想ほど犬の性格には大きく関係してなかったそうです(p.327)。

人間と一緒に仕事をするうえで、牧羊犬種が従順だとか、猟犬種が独立心が強いとか、そういった特徴は犬種や属するグループによって異なってくるかもしれませんが、
感情的な面では犬種ごとに違いはないということでした。

それよりも、生後数ヶ月の幼少期の経験が、犬種の違いなどの遺伝的要因よりも大きいというのです。

同じ犬仲間や人間と最低限の接触しかさせないで、孤立した環境で育ったコッカ―スパニエルは、同じような環境で育ったビーグルとよく似た行動をするようになります。
臆病でいつもと違うことには全て怯えて、成長してからは恐怖による回避行動や身を守るための攻撃行動が見られるようになったと。

これはその通りだろうと思います。

 

のんちゃんも、子犬の頃預けたしつけ教室でのトラウマに始まり、わたしが長い間放置してしまっていた間のk度億巻や社会化不足のせいで、
新しいことにはなかなか慣れないし、見慣れないものはまず怖がるし、恐怖の度合いが過ぎると攻撃することもありました。
6年ほどの歳月をかけてようやく克服したところです。

他にも、友人が飼ってる生後6ヶ月すぎまでペットショップのバックヤードで放置虐待されてたダックスちゃんも、
のんちゃんと同じような状態でした(攻撃行動はなかったみたいだけど)。

 

それから攻撃性については、ジャーマンシェパードのようなガードドッグは、噛む動作の抑制が少ないということは言えます。

でも、「犬種による攻撃性の違いが遺伝的な特徴と大きく関係しているという直接的な証拠は、どこにもない」のです(p.332)。

攻撃行動に限らず、どういう時に犬がどんな反応を見せ、どう行動するかは、その犬個人の、それまでの経験によって変わって来ます。

 

 

「犬種標準」をもとにしつけを変える?

この犬種はこういう性格だから、こういったしつけをするといった風に、「犬種標準」による犬の性格をもとにしつけ方を変えるというやり方をするトレーナーもいます。

でも、お話した通り、犬種標準っていうのは特に性格面ではあてになりません。

犬種ではなく、その子その子の「個人(個犬?)」に合わせた接し方が大事だってわたしは思ってます。

 

あいまいなイメージによる犬種標準をもとに「この子はこの犬種だからこういう性格」だと思ってると、それが思い込みになることもあるし、
思い込みが目を曇らせて犬の気持ちを読み間違えることもあります。

闘犬である土佐犬なんかは攻撃的だって言われてるけど、唸ってるのは攻撃本能によるものじゃなく、何かを怖がってるのかもしれません。

ドーベルマンだからって攻撃的だと決めつけて、唸ったり空噛みしたりするのを「人間への挑戦」だと思い込んで、
チョークチェーンはめてガツンガツンに服従訓練してたトレーナー知ってるけど、尻尾を丸めて(断尾されてるからっほとんどわかんなかったけど)、
耳を倒して首をすくめてる様子からは、あの子は抑圧的なトレーナーを怖がってたんだってすぐにわかります。

 

一度思い込みから決めつけてしまうと、あとから修正するのは大変だし、犬たちに辛い思いをさせてしまいます。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

だから、犬種にとらわれないで、その子自身の性格をよく見て、考えて接してあげることが大事です。

 

 

飼いやすい「犬種」とは?

ペットショップで働いてた頃から、よく聞かれました。

「初めて犬を飼うんだけど、初心者向けの犬種ってどんなのがありますか?」

「落ち着いて飼いやすい犬がいいんだけど、どんな犬種にすればいいでしょうか」

 

わたしはいつも

そんな犬種はない

って答えてました。

 

ネットを見れば、飼いやすい犬種ランキングだの、初心者向けの犬種ランキングだのと色々あって、そこにランクインしてる犬種の多くが人気犬種としてもランクインしています。

だから、ただたんに飼われてる頭数が多いってせいもあるんだろうけど、問題行動に困ってトレーナーやカウンセラーのもとを訪れる飼い主さんの愛犬は、
飼いやすい・初心者向けとして紹介されてる犬種が多いんです。
わたしのもとに相談をして下さる飼い主さんの愛犬も、多くが人気犬種です。

最近発行された犬種図鑑には「飼いやすい」「初心者向け」として紹介されてる犬種も多くいます。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

とある方にとってはボーダーコリーやシェルティなどのコリー系犬種は「しつけやすい犬種」なんだそうですよ。

 

でもさっきも言ったように、犬種特性よりも犬がどんな環境でどんな経験をするのかや、飼い主さんの犬への接し方の方が正確に大きく影響します。

ペットショップでお迎えされた子犬が成長したら、時々飼い主さんが店に連れて来てくれることがあったんだけど、
図鑑では「有効的」とか書かれてるような犬種で店にいた時はあんなにいい子で人懐っこい子だったのに、
お迎えされて数ヶ月で何があったのか人と見ればガウガウでスタッフはだれも触りたがらないような犬に育ってる子はいくらでもいました。

また、なかなか飼い主が決まらないでペットショップに長期間いて、店員から雑に扱われていると、店に来たばかりで真っ白の頃は店員の後を追いかけてるような子だったのに、
だんだん攻撃的になって目つきがきつくなっていきます。

 

犬の性格っていうのは、その後の経験でいくらでも変わります。

なので、落ち着いた犬種、飼いやすい犬種を飼うことよりも、お迎えしたその犬をいかに落ち着いた、一緒に暮らしやすい犬にするかが重要なんです。

 

 

犬種標準よりも「犬が育った環境」を重視しよう

こういった学術的研究結果や、実際の体験とを重ね合わせてみると、ケンネルクラブがいう「犬種標準」があてにならないのがよくわかります。

これから犬と暮らそうと思っている方には、ペットショップで見て、見た目の可愛さに一目惚れして店員に言いくるめられる(困った)人もいますが、
一方で自分で飼いたい犬種、飼える犬種についてよく調べてから飼うって人もいるかと思います。

 

瀧沢かいるー
瀧沢かいるー

でも、少なくとも性格については全くあてにならないといっていいです。

 

とあるヨーキーの飼い主さんは、犬種図鑑であらかじめヨーキーについて勉強し「用心深く、利口なテリアである。気質は安定しており、勇敢である」
というつもりでいざお迎えして散歩に行こうとしたら、一歩も歩かずにブルブル震えていたということがあったそうです。

実はそのヨーキーちゃんは長年飼い主さんから放置虐待されていた保護犬で、6歳で保護されるまで散歩には行ったことがなかったそうです。

そういう子が、例えヨーキーといえど「気質が安定しており、勇敢」ではないことは容易にわかるはずです。

そのヨーキーちゃんの臆病な性格は、孤立した環境で放置虐待されていたという環境が原因です。

 

なので、これから犬と暮らそうという方は、その犬がどんな場所で生まれ育ったのか、環境を一番に考えないといけません。

多くのブリーダーは生後1ヶ月するかしないかで、親犬と子犬を別々の場所に分けて管理しています。
狭い犬舎に閉じ込めているところも多いです。

そんな環境では「臆病でいつもと違うことにはすぐに怯え、成長してからは恐怖による回避行動や攻撃行動がよく出る子」になってしまいます。

ペットショップにいる子犬も同じです。

 

生後3ヶ月くらいまでは親犬と一緒に育って、閉じ込め状態ではなく外の世界にも十分に慣れ、サークルなどに入れられていない子犬は、
性格が安定していて一緒に暮らしやすいです。

こういう状態で子犬を育てるということは、「もうけ」を追求するブリーダーにはできませんけどね。

親犬を散歩させて、子犬の社会化に付き合っていればそれだけで1日が終わります。

何頭も種犬、台犬を抱えていなければ「もうけ」は出ませんが、それはつまり満足な散歩ができていないってことです。

うちはこの犬種が好きで、この犬種しか繁殖させてないんですよって言ってるブリーダーもいるにはいるけど、
例え1犬種であっても何頭もの親犬を、何人で世話しているかを考えてみましょう。

ブリーダーのHPを調べたり、問い合わせて聞いてみたりした限りでは(問い合わせた時点で返信がなくなるブリーダーが何件もあったけど)、
どのブリーダーもとても十分な世話はできてないように感じました。

ブリーダーやペットショップだけじゃなく、団体や個人のシェルターでもこの危険はあるので、犬を引き取ろうって時には十分にチェックしましょう。

 

一番いいのは、田舎の方で生まれて、親犬と一緒に外で過ごしている雑種の子犬です。
ネットで見ると時々里親募集してるのを見かけますね。

うちの近所でも去年の春先にミックス犬が4頭子犬を産み、うちにも里親にならないかって聞かれたんだけど、
すでに3頭もいてこれ以上増えると大変だからお断りしました。
幸い、子犬全員に貰い手が見つかって、わたしのアドバイスもあって生後2カ月半でもらわれていったそうです。

 

犬の性格を決めるのは、生まれ育った環境と飼い主の接し方です。

あいまいなイメージによる「犬種標準」に惑わされないようにして下さいね。

【犬種標準についてもっと詳しく読む】
「犬種標準」とは?どれだけ犬たちを苦しめているかご存知ですか?

【ブリーダー見学記録を読む】
こんなブリーダーはやめておこう!ブリーダー見学記録(実体験)


 

 

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